戸令07 目盲条

現代語訳「養老令」全三十編:第八編 戸令 全45条

○07 目盲条(目盲の条)


《原文》
凡一目盲。両耳聾。手無二指。足無三指。手足無大拇指。禿瘡無髪。久漏。下重。大【《やまいだれ》+嬰】【《やまいだれ》+重】。如此之類。皆為残疾。癡。【《やまいだれ》+亞】。侏儒。腰脊折。一支癈。如此之類。皆為癈疾。悪疾。癲狂。二支癈。両目盲。如此之類。皆為篤疾。


《意訳》
片眼が見えない、または、両耳が聞こえない、または、手の指2本を欠損している、または、足の指3本を欠損している、または、手や足の親指を欠損している、または、頭にできものができ髪が抜け落ちる病気(白癬菌脱毛症・ケルズス禿瘡やハンセン病による脱毛か)、または、久漏〔もるやまい〕(身体が腐り膿汁が漏れ出る病気。重度の痔瘻か)、または、下重〔げじゅう〕(男子の陰核が腫れ歩行困難になる病気。陰嚢ヘルニア等の陰囊腫大)、または、大【《やまいだれ》+嬰】【《やまいだれ》+重】〔だいようしゅう/だいえいしゅう〕(首や足の大きな腫れもの。【《やまいだれ》+嬰】は首の腫れもの(甲状腺腫)、【《やまいだれ》+重】は足の腫れもの(象皮病))、これらの例に該当する人はみな「残疾〔ぜんしち/ざんしつ〕」とする。
癡〔おろかひと〕(重度の精神発達遅滞)、または、【《やまいだれ》+亞】〔おうし〕(発話障害)、または、侏儒〔ひきひと〕(いわゆる小人症)、または、腰背部骨折や脊髄損傷等による肢体不自由、または、一支廃(手足の1本を欠損している)、これらの例に該当する人はみな「癈疾〔はいしち/はいしつ〕」とする。
悪疾(ハンセン病)、癲癇〔てんかん〕、精神疾患、二支廃(手足の2本を欠損している)、両眼が見えない、これらの例に該当する人はみな「篤疾〔とくしち/とくしつ〕」とする。


本
この条は、課役徴収の減免等の規定に用いられる、身体障害の程度等級を定めたものです。

残疾〔ぜんしち/ざんしつ〕→癈疾〔はいしち/はいしつ〕→篤疾〔とくしち/とくしつ〕の順に重い障害となります。

9世紀に作られた「令集解〔りょうのしゅうげ〕」という令文の諸解説を集めた注釈書によれば、残疾や癈疾で複数の障害を持つ場合、状態を斟酌して、残疾や癈疾のままとするか、あるいは、ひとつ上の障害程度とされました。


※個人的なメモ
【《やまいだれ》+嬰】の字は【癭】で、現代では〔えい/よう/こぶ〕。
【《やまいだれ》+重】の字は【瘇】で、現代では〔しょう〕。
【《やまいだれ》+亞】の字は【瘂】。


posted 2010-09-14 21:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | カテゴリ:08:養老:戸令 現代語訳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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