戸令05 戸主条

現代語訳「養老令」全三十編:第八編 戸令 全45条

○05 戸主条(戸主の条)


《原文》
凡戸主。皆以家長為之。戸内有課口者。為課戸。無課口者。為不課戸。{不課。謂。皇親。及八位以上。男年十六以下。并蔭子。耆。癈疾。篤疾。妻。妾。女。家人。奴婢。}


《意訳》
戸主〔へぬし/こしゅ〕は、皆、家長を以てそれとすること。戸内に課口〔かく/かこう〕がいるならば、その戸は課戸〔かこ〕とすること。課口がいなければ、その戸は不課戸とすること。{不課というのは、皇親、及び八位以上の官位のある人、16歳以下の男子、ならびに、蔭子〔おんし〕、66歳以上の老人、癈疾、篤疾、妻、妾、女子、家人〔けにん〕、奴婢〔ぬひ〕をいう}。


本
この条は、戸の法的責任者である戸主、および、課税対象者の範囲について定めたものです。

「課口」は課役を負担する義務がある人、「不課(不課口)」は課役を全て免除される立場の人をいいます。上記の不課口にあてはまらない免除者、つまり、立場としては課口だけれども、特定の理由で課役を免除された人については、不課口とはいいません。

不課口の内訳は、まずは特権階級。すなわち、皇室の人々、および、八位以上の位階を持つ人々、それから「蔭子〔おんし〕」ですね。

蔭子〔おんし〕とは、平たくいうと、五位以上の貴族である親御さんの七光りで位階を授かる資格を持ったご子息のことです。「選叙令〔せんじょりょう〕」に資格の詳細が定められています。これで得られる位階を蔭位〔おんい〕といいます。
三位以上の上級貴族の場合、孫にまで蔭〔おん〕が及びました。これらをまとめて蔭子孫〔おんしそん〕ともいいます。
蔭位〔おんい〕については、親サイトの古い BBS にある「授位の基準」というやりとりも参考になさってみてください。

さて一方で、家人〔けにん〕や奴婢〔ぬひ〕といった「賎民」も不課口でした。この人たちには所有者がいましたから。
賎身分についての詳細は、親サイトの「五色の賎」の項をご覧ください。

その他、女性、子ども、高齢者、中度以上の障害者が課役を全免されていました。
耆〔き〕は「戸令06 三歳以下条」に規定されている、66歳以上の老人。
癈疾〔はいしち/はいしつ〕、篤疾〔とくしち/とくしつ〕は、「戸令07 目盲条」に規定されている中度・重度障害者です。

というわけで、課口とは、ここで不課口とされた人々を除く、17歳〜20歳までの中男と、21歳〜60歳までの正丁と、次丁(61歳〜65歳の老丁、および、残疾)となります。ただし、中男や次丁は正丁よりは軽い負担に定められています。


★間違い訂正

戸令04 取坊令条」の記述で、初位という官位を完璧に忘れた表現をしていました。
てへへ。....じゃないですね。訂正しました。ごめんなさい。


posted 2010-09-16 22:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | カテゴリ:08:養老:戸令 現代語訳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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