戸令17 絶貫条

現代語訳「養老令」全三十編:第八編 戸令 全45条

○17 絶貫条(絶貫の条)


《原文》
凡浮逃絶貫。及家人奴婢。被放為良。若訴良得免者。並於所在附貫。若欲還本属者聴。


《意訳》
浮浪逃走して籍が絶えた者、及び、家人〔けにん〕や奴婢から解放されて良人となった者、あるいは良人であると訴え出て放免された者は、いずれも所在地の籍に附けること。もし本籍に還りたいとの希望があれば許可すること。


本
この条は、浮浪逃避による除籍、及び、賎身分から良人となった場合の戸籍登録について規定したものです。

浮浪逃避による除籍とは、戸令戸逃走条に定められた三周六年法により、戸籍・計帳から除帳・除籍された人のことです。

賎身分から良身分となることを「放賎従良」といいます。賎を放〔ゆる〕され良に従える意です。放賎従良の条件は戸令官奴婢条(当ブログでは20日ほど後にこの条文に辿り着く予定。わぁ遠いなぁ(^^;)などの条文に規定されていますが、たとえば、高齢になったり中度以上の障害者となった場合、あるいは海外で、はからずも行方不明となり帰還したような場合です。

また、何らかの理由で、本来そうでないのに賎身分とされている場合、そのことを訴え、認められれば、戸籍に附けられます。

家人〔けにん〕は唐の部曲という身分に相当するとされていますが、部曲よりも扱いが低いです。
戸令家人所生条(当ブログでは23日後に....)に関する日本思想体系「律令」(第1刷は1976年)の補注に以下のような記述があります。


《戸令家人所生条に関する日本思想体系「律令」の補注
(担当:吉田孝氏 注解全体の整理統一は井上光貞氏・青木和夫氏 凡例より)》
おそらく日本律令の制定者は、唐律令の部曲にならって、家人の制度を新しく設定したのであろう。家人の語の実例も、法隆寺資財帳など寺院関係の史料以外には、全く姿を見せない。もっとも、籍帳に記載された奴婢のうち家族関係が記載されているものは家人である、という説もあるが、律令で明確に異なる身分とする家人と奴婢との区別を、身分の基本台帳である戸籍(戸令19)に記さなかったとは考え難い。おそらく家人の身分は寺院などにおいてだけ特に定められたのであろうが、法隆寺資財帳が家人百二十三口の内訳を奴六十八口・婢五十五口と記しているように、家人は奴婢のなかの一種として観念されていたらしい。


要するに、家人とは、令文の規定としては名前が見られるけれども、実態としては特殊な性質をもつ奴婢であったといえるようですね。30年以上前の注釈ですので、その後に出てきた史料などがあるならば、その研究でもっと判明したこともあるかもしれません。



posted 2010-09-27 21:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | カテゴリ:08:養老:戸令 現代語訳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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